横浜の「北斎展」

横浜のそごう美術館で「北斎展」が開催されています。私は外会議で関内に行った昨日の夕方、「北斎展」を見てきました。関内ホールの帰り道になる横浜駅に美術館があるというのは大変都合が良く、ちょっと得をした気分になります。そごう美術館はデパート併設の美術館で、「北斎展」は児童生徒の夏休みを当て込んで企画されたものだろうと思いました。子ども目線で捉えた展示方法で、国際的に認められた浮世絵師葛飾北斎の代表作が並べられていました。絵の内容では、どこに注目したらいいのか、またどのように浮世絵は作られたものなのか、極めて分かりやすい子ども向けの解説は、疲れた大人の頭にも清涼な風を吹き込ませてくれました。私は有名な「富嶽三十六景」もさることながら、モノクロの「富嶽百景」に注目しました。画想や構図の面白さに暫し時間を忘れました。「鳥越の不二」に出てくる幾何学的な球体は何でしょうか。幕府の天文観測所浅草司天台という解説がありましたが、屋敷の屋上に巨大な渾天儀が設けられていたことが他の資料で判明しています。「富嶽百景」の解説書によると「『富嶽百景』は、この『霊峰不二』という画題一点を軸として、自然の風物とその周辺で生きとし生ける人々の営みを巧みに交え、ありとあらゆる富士山の諸相を北斎の全精力を傾注して描いています。単なる風景としての『不二』を表現するばかりでなく、北斎自身が捉えた独特のアングルでその魅力を描き切っています。芸術的に描かれた富士山の図像百科事典と言ってもよいでしょう。」(版元 芸艸堂しるす)と書かれていました。仕事の帰り道に何気なく立ち寄った「北斎展」でしたが、とても良質な作品に触れた感触が残り、いい気分になりました。

関連する投稿

  • 東京駅の「メスキータ展」 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータは20世紀初頭に活躍したオランダの画家・版画家・デザイナーで、ユダヤ人だったためにナチスドイツの強制収容所で家族諸共処刑されています。彼がオランダの美術学校で教 […]
  • 横浜の「駒井哲郎展」 昨日、横浜のみなとみらい地区にある横浜美術館で開催している「駒井哲郎展」に行ってきました。副題を「煌めく紙上の宇宙」としていて、銅版画のパイオニア的存在だった故駒井哲郎の大掛かりな回顧展になっていま […]
  • 横浜の「イサム・ノグチと長谷川三郎」展 昨日、会議の合間を縫って、横浜の桜木町にある横浜美術館で開催中の「イサム・ノグチと長谷川三郎」展を見てきました。本展は「変わるものと変わらざるもの」という副題がついていて、日本古来の伝統文化とモダン […]
  • 東京両国の「北斎の帰還」展 先日、東京両国にある「すみだ北斎美術館」に行ってきました。目的はTVで放映された「須佐之男命厄神退治之図」の復元された絵をこの眼で見たかったことでしたが、美術館が企画した「北斎の帰還」展にも眼が奪わ […]
  • 茅ヶ崎の「小原古邨展」 先日、茅ヶ崎市美術館で開催されている「小原古邨展」に行ってきました。日本美術史の中で埋没していた芸術家が、これからさらに発見されて脚光を浴びることがあるのでしょうか。江戸時代の絵師伊藤若冲や奄美を描 […]

Comments are closed.