TV放映「ヒロシマの画家」に感銘

先日、NHKのBS番組で放映された「ヒロシマの画家」に感銘を受けました。番組は、広島生まれの画家四國五郎の生涯を描いた内容で、第二次世界大戦の原爆投下後の広島市街の惨状を、画家の活動を通じて雄弁に語っていました。この時まで私は画家四國五郎を知りませんでした。番組に登場するガタロさんは、清掃員をしながら原爆ドームを描いている画家として、嘗てTV放映があったので、こんな人もいるのかと知りましたが、故人になった四國五郎とガタロさんは師弟関係にあったようです。第二次世界大戦が終わる頃、四國五郎はシベリアに拘留されていたため、原爆の広島投下に出会っていません。日本に引き揚げてきた時に故郷の惨状を知り、とりわけ彼にとって実弟の死が衝撃だったようで、その面影をいつまでも大切にしていたのでした。画家は原爆投下を直接知らなかったため、ヒロシマを語り継ぐのには葛藤があったと紹介されていましたが、それでも大戦前の広島の在りし日の風景を絵画化し、大戦後のヒロシマを象徴として描いて見せました。番組内で私の心を揺さぶった1点の絵画があります。死んだ母が横たわる背後で呆然としている子どもを描いた絵画です。広島の美術館に収納されている絵画で、アメリカの研究者が訪れていました。アメリカでは著名な人たちが画家四國五郎の絵画に込められた思いを研究対象にしていて、核兵器が齎す人類への圧迫と警鐘を、アメリカの大学の講義等で扱っていることが分かりました。広島や長崎に原爆が投下されて早74年、核の脅威を私たちは永遠に忘れてはならないと痛感いたします。

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