5月RECORDは「叢雲の風景」

今月のRECORDのテーマを決めました。RECORDは一日1点ずつポストカード大の平面作品を作っていく総称で、文字通りのRECORD(記録)になっています。今年は「~の風景」というタイトルをつけていますが、今までのRECORDも風景描写をしている作品が多いので、風景という文字がタイトルに加わっても画面に大きな変化はありません。主題が明瞭になっただけの話です。今月のテーマを「叢雲の風景」としたのは、2019年の1月に「かすむ」というタイトルで作っていたRECORDを思い出し、霧や霞の中で風景が見えにくい状況をさらに続けたいなぁと考えたからです。当時のテーマ設定の内容を振り返ると、不安定で先が見えない国際情勢にも触れていました。現在でもそこは変わらない状況ですが、今回は発想を古代日本にも向けていて、霞む風景を「叢雲」というコトバで表しています。これは熱田神宮に伝わる三種の神器である「天叢雲剣」(あめのむらくものつるぎ)に由来しています。日本神話において、スサノオが出雲国でヤマタノオロチ(八岐大蛇)を退治した時に、大蛇の体内から見つかった神剣が「天叢雲剣」で、ヤマタノオロチの頭上にはいつも雲がかかっていたので、こう称されているのだそうです。今回は日本神話を描こうとは思っていませんが、発想のひとつとして神話を借りることはあるかもしれません。日本神話を突き詰めていくとなかなか面白そうですが、学術的探究は今はやりません。今月も一日1点完成を自分に課して頑張っていきたいと思います。

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