日暮里の「朝倉彫塑館」雑感

私は個人美術館をよく訪ねています。個人美術館で一番感銘を受けたのが、香川県にあるイサム・ノグチ庭園美術館ですが、学生時代に遡ると大学の帰り道にちょっと寄り道のつもりで、友人と新宿から長野県に向かう列車に飛び乗り、車中で仮眠しながら遠路遥々安曇野穂高にある碌山美術館へ行ったことが思い出されます。前日の夕方まで大学で塑造をしていた私たちが、翌朝には荻原碌山の彫刻を鑑賞している奇跡のような瞬間を今でもよく覚えていて、2人で人体の動性や筋肉の動きを嘗め回すように見ていたのでした。あれから40年も経って、ふとその記憶が甦ったのは、先日訪ねた朝倉彫塑館で具象彫刻を見ていた時でした。故朝倉文夫は肖像彫刻でよく知られた巨匠で、私は「墓守」という作品が昔から好きでした。朝倉文夫は猫の彫刻も多く、猫好きの池田宗弘先生とは異なる表現していて、具象的な表現に徹していると感じました。彫塑館そのものも鑑賞の対象になるくらい美しい建造物で、家に囲まれた池のある庭園が見事でした。庭園に配置された巨石は建築する前に運び込まないと不可能と思われるほど迫力があり、いろいろな意味で彫刻的な雰囲気を漂わせていました。応接室も立派で、モデルになった著名な人々が訪ねてきたのかなぁと勝手に思っていました。大きな肖像彫刻が置かれたアトリエは天井が高く、室内に足場を組んで塑造していた朝倉文夫の姿が思い起こされました。彫刻家亡き後も保存され、大切に扱われてきた文化財に、羨ましさを感じる彫刻家は私一人ではないはずです。

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