映画「犬ヶ島」雑感
2018年 9月 18日 火曜日
先日、横浜のミニシアターにアメリカ人監督によるストップモーション・アニメ「犬ヶ島」を観に行きました。日本の風俗をテーマにしている点では、以前観た「クボ」に共通するものがありました。20年後の日本が舞台になっていましたが、どこかレトロな雰囲気が漂っていたのは監督の嗜好かもしれません。物語の発端は、メガ埼市の小林市長がドッグ病の感染を怖れて、野良犬も飼い犬も全てゴミ島とされる「犬ヶ島」に追放するところから始まります。市長の養子である主人公アタリは自分を護衛してくれていた犬スポッツを探しに「犬ヶ島」に単身乗り込み、そこで知り合った個性的な5匹の犬たちとスポッツを探していくストーリーになっていて、人間の中にも親犬派と嫌犬派が対立していたり、陰謀があったり、情の深まりがあって、どこか人間臭さを感じさせる雰囲気に満ちていました。私が美術をやっているせいか、画面全体に広がるヴィビュアルな美しさに気を取られました。殺伐としたゴミ溜めのようなグレーな背景も、廃物利用したような飛行機や船にも一貫したデザイン性があり、手作りの面白さが溢れていました。日本の風俗描写は些か安易かなぁと思っていましたが、細かな箇所に創作意欲を感じさせる映像に、異文化描写は大目に見ようかとも思いました。ともかく手間暇のかかった作り物の面白さには満足しました。モダンとレトロの融合にも楽しさを覚えました。鉄が錆びたような風景の質感は、自分の陶彫作品にも通じるものがありました。
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