映画「シェイプ オブ ウォーター」雑感

昨年の第90回米アカデミー賞作品賞に輝いた映画「シェイプ オブ ウォーター」を横浜のミニシアターで観ました。これは半魚人が登場するモンスター映画です。モンスター映画がアカデミー賞作品賞を受賞したのは史上初だそうで、そこには現代に通じる様々な要素が散見されているのが受賞に至った理由ではないかと私は感じています。まず時代を米ソ冷戦が過熱化していた1962年にしてありました。捕獲された両棲人間を軍事利用するアメリカ軍、その施設を統括する神経質で邪悪な軍人。まず私が着目したのは当時の強いアメリカを象徴するような軍人とその家庭環境でした。時代設定の62年、まだ幼かった私は海外番組の影響で、アメリカの豊かさを羨望の眼差しで見ていました。軍人の家庭は裕福さを物語っていました。当時は人種差別もあり、アメリカは難しい問題が山積していたにも関わらず、白人優位の社会階層が幅をきかせていました。現在のトランプ政権に当時を彷彿させる気配を感じてしまうのですが、これは映画からの深読みでしょうか。そこに持ち込まれたモンスター。軍人に拷問されるモンスターは神々しい姿にも感じられ、モンスターと交流が始まる言葉が発せない女性とのやり取りは、不思議な美しさを漂わせていました。半魚人のデザインや造形にも、私は目が奪われました。アスリートのような筋肉と魚類系の眼の動き、感情を表すエラに、水陸両棲ならどんな生態系になるのか、創造と試行を繰り返したであろう現代版半魚人の姿に惚れ惚れしました。ラストシーンで、愛で結ばれた女性の亡骸を抱いて、海に落ちていく半魚人、そして海中で蘇生する女性の首にエラが一瞬出来上がっていた数秒の場面が、私には印象的でした。作品賞に輝いた理由はまだまだありますが、グロテスクな世界は人間側にあって、迫害されるモンスターは殉教者のように感じられたのも理由の一つでしょう。最後にデル・トロ監督の言葉を引用します。「僕はモンスターの侍者で、伝道師だ。」

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