作品タイトルをどうするか?

昨年の夏より取り組んでいる新作には、まだタイトルがありません。大きなテーブル彫刻やら小さめのテーブル彫刻といった呼び方をしていて、そろそろタイトルをつけないと不便だなぁと感じています。タイトルは作者によって考え方が異なり、全て無題にして番号だけをつけている人もいれば、かなり凝ったタイトルをつけている人もいます。タイトルそのものが、作品に内在する思索に導くような難解な造語をもって、それにより作品世界を深く豊かにしている場合もあります。鑑賞する側が、タイトルをヒントにして造形世界を読み解くのも楽しみのひとつだろうと思っています。私の場合はタイトルにそこまでの拘りはありません。タイトルは作品を簡潔に語るもので良しとしています。時として比喩や造語も用いますが、謎を呼ぶようなものはありません。私の造形イメージはカタチ先行で、コトバを有していません。コトバはコトバとしてイメージを遡って搾り出してくるしか方法はありません。現在作っている新作は、そもそも何を求めて具現化しているのか、造形イメージからコトバを搾る(絞る)のは、なかなか難しい作業です。タイトルが決まると、そのタイトルを使って、造形作品とは違う世界が私の中で生まれてきます。ホームページに造形作品とともに掲載している拙いコトバは、そうして生まれてきたコトバなのです。10代の頃から私は詩作に憧れ、幾多のコトバに反応してきました。それでもコトバは造形ほど直截簡明な表れ方が出来ず、自分の中で空回りをしてきたと思っています。いつしか私はコトバを苦手と思うようになり、詩作など到底不可能と決めつけています。タイトルがなかなか出てこない状態は、そんな要因があるのかもしれません。それでもコトバをホームページに載せてしまうのは、浅はかな考えであることは充分承知しています。新作のタイトルをどうするのか、もう少し考えてみようと思っています。

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