17‘新報掲載の評文より

「陶彫。『発掘』シリーズⅨ。巨大作2点。1つは4本柱の台に吊り下がる筒型板。もう一つは帯状文や四角い板などで構成された長大な台。発掘品みたいな古びた感じが特徴で、見処。だが以前に比べ、整理され、すっきりした印象を受ける。他に小さい筒型の置き物も5点。」ビジョン企画出版社が出している新報掲載の一文です。執筆者は瀧悌三氏で、個展の初日に来てくれました。図録を差し上げてお話をさせていただきました。思えば日本の古代遺跡である直弧紋について提言していただいたのも瀧氏でした。毎回作品を見ていただいて、率直な意見をいただきましたが、すっきりした印象という話には及びませんでした。1つの素材を使って長い間作品を作っていると、イメージ的にも思考的にも整理されてくる傾向があります。私の場合は緩慢に流れてしまうのを怖れていて、初めのイメージとそれを裏付ける思索をじっくり煮詰めていくことを何よりも大切にしています。その上に技巧があると考えているのです。陶技法も装飾性が目立つようになれば、それはもはや彫刻とは言えないと思っています。長く続けていればカタチが整理されてくるのは当然ですが、それならばより深い簡潔性を求めていきたいと考えています。彫刻の基本であるモノが存在する空間とは何か、私の場合はモノが発掘されて地表に出た時の驚き、発掘現場の空気の震えのような状況を見る人に伝えていければいいと思っています。

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