週末 4個目の陶彫成形

新作のテーブル彫刻の床には6個の陶彫部品を円形にして置く予定です。その6個はかなり大きくて、窯に入る最大の大きさで作っています。部品が大きくなればなるほど、罅割れが心配になります。もともと陶芸の器と違い、陶彫は無理な形態をしているので、失敗は陶芸の比ではありません。慎重にやっても思わぬ箇所が割れてしまうことがあります。今日は朝から工房に篭って、6個中4個目になる陶彫部品の成形に明け暮れました。昨日用意したタタラを、予め決めておいた寸法でカットして、木材で押さえながら立てていきます。タタラは適度に乾燥していなければ垂直には立てられません。内側を紐状にした陶土で補強しながら組立てていくのです。タタラはまだ柔らかいので曲面も作れます。もう数時間タタラをそのまま放置すると完全に硬くなって曲面が作れなくなります。この度合いが微妙です。タタラ同士の接着にはドベを使います。ドベは陶土を水で溶いたもので、櫛ベラで傷つけた面と面にドベを塗って接着していきます。接着した内側は紐状の陶土で補強します。組立てた立体の上にさらにタタラを積むときは、下の立体が重量に耐えるだけ乾燥しているかどうかを確かめていきます。タタラの厚さも上にいけばいくほど若干薄くなっていくのが理想です。彫刻的な面白みはこの立体構造にあります。単純な構造ではありますが、僅かに波打つ斜面やそれを支える面構造の力学関係をここで堪能できるのです。陶彫全体の中でこれが一番面白い工程と私は思っています。その後に続く彫り込み加飾は絵画的な要素が強いと思っていて、成形に比べれば退屈な作業だと感じています。今日は成形が終わってビニールで包み、彫り込み加飾はウィークディの夜間制作に回しました。月曜日以降は夜に工房へ来られるでしょうか。仕事後の疲労度によりますが、先週は3日間来ました。今週はどうでしょうか。

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