「美術家の健康と安全」について

今年の7月に日本美術家連盟から「美術家の健康と安全」という冊子が送られてきました。これは造形美術の分野別ハンドブックで、画材や彫刻素材、溶剤や接着剤などが細かく記載されていて、とても便利です。とりわけ危険有害性物質や有機溶剤は、安全に扱うための注意があって、有り難いなぁと思いました。彫刻は素材によって有害物質があり、扱い方や対処法の記載が的確です。作家からの聞き取りがあるらしく、注意点に書かれたものは自分でわかっていても一読した方がいいなぁと思いました。自分が扱ったことがない素材に関する知識や道具の種類にも私は興味関心があるので、この素材を使うにはこんなことを心がけなければならないのかと頁を繰りながら思いました。他の分野ではとりわけ版画に注目しました。銅版画は私が新たに取り組みたい分野ですが、腐食液を使用するので、この扱いに留意しなければならないと思いました。市販されている他のハンドブックに見られない具体的な製版方法や使い終わった後の処理の方法まで書かれていて、作家の目線による注意喚起は大変役立つものと思います。ただし、作家以外の人には詳細すぎる部分もあるので、これはあくまでも作り手にだけ伝わるハンドブックなのだと理解しています。

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