台湾旅行③

台湾旅行3日目は、朝早くホテルに荷物を預けて、地下鉄に乗りました。台北の地下鉄は、色彩で分けられていて分かり易く便利で、しかも料金が安いのが魅力です。國立故宮博物院は士林駅で下車してからタクシーで向かいました。開館8時半を少し回ったところで入館しました。バッグは全てロッカーに預け、手ぶらで入館しますが、スマホやデジカメの持込は大丈夫でした。展示品によって撮影が許可されているようで、多くの鑑賞者が撮影をしていました。1階には「象牙透彫雲龍文套球」や東京上野の博物館にも来た「翠玉白菜」が展示されていました。清の時代の精緻な小品や家具にも眼を奪われました。「慈悲と知恵」と題された部屋には仏像が多数置かれていました。次に私は3階に上がりました。ここに展示されている殷の時代の青銅器に心が擽られて、その文様の面白さに時が経つのを忘れました。アイヌの文様にも似て、現代にも通用する斬新さを感じました。歴代の玉器も超絶技巧としか言いようのない優れた品々ばかりで、こうした技法に次第に眼が慣れてきました。例えば1点の作品に拘れば、あれこれ論じられるほど表現力に富んでいて、そんなレベルの作品が延々と置かれている状況を何と説明してよいのか、職人が命懸けで挑んだ結晶と言うべきか、これは全てが人類の共通遺産に違いないと私は深く頷いたのでした。2階は陶磁器と書画でしたが、これも高度なレベルにあって、明や唐の時代に描かれた作品が並んでいました。所蔵作品は60万点とも70万点とも言われていて、その一部を公開しているのに過ぎないのが國立故宮博物院の印象でした。所蔵作品は3ヶ月で一部衣替えをするそうで、全部を見るのに何年かかるのだろうと試算しました。鑑賞途中で出口に向かい、係員から腕に印を押されてレストランに行きました。レストランは庶民的で、どこの美術館や博物館でも変わらないメニューがありました。家内はサンドイッチ、私はチキンパスタを選び、タピオカミルクとモンブランケーキ2人分を注文しました。午後も頑張って見て回りましたが、足が疲れてきてベンチで休む回数が増えました。朝9時前から午後3時過ぎまで見たところで、眼や足が駄目になり、最後はギャラリーショップに行きました。店は書籍が充実していて、さすが漢字の国だなぁと思いました。空港までの時間や労力を計算して3時半くらいに國立故宮博物院を出ました。これで心は満足を覚えましたが、作品の分析や思考をしたくて仕方がありませんでした。購入した書籍は日本語があまりなく、謎が残る作品が多くて、後は感覚に頼るしかないのかと思っています。工房に出入りしている中国籍スタッフに聞くことも増えそうだと思いつつ、ホテルで預かってもらっていたキャリーバッグを転がしながら、新しく出来た鉄道で桃園国際空港に向かいました。

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