個展開催中のもうひとつの仕事

昨日より東京銀座のギャラリーせいほうでの個展が始まり、初日には多くの関係者に来廊していただきました。有難うございました。今日から3日間は横浜市公務員管理職としての仕事が詰まっていて、私はギャラリーには行けません。残念ですが、二足の草鞋生活とはこういうもので、こればかりは仕方がないと思っています。彫刻家と公務員、この二つの世界を交互に行き来しながら私は30年以上もやってきました。彫刻家は自分ひとりの世界が基本で、自分の内面と対話して自らのカタチを探って創造していく世界です。自分を追い詰めていくこともありますが、それは他者にとってはどうでもよい世界で、社会的ニーズはありません。ただ創造した世界を具現化した時に、それを鑑賞していただいて、見た人の心に活力を与えることが出来れば本望と言えます。公務員としての仕事は、社会的ニーズに支えられ、業種ごとに組織を作っています。自分の内面を振り返ることはありませんが、組織を運営する上での各人の資質や能力が問われる世界です。組織を統括する私は、組織が有効に働くために施策を打ち出し、また部下の評価もやっていきます。自分の職場で適材適所に職員を配置しているか、それは自分の人事に関する自己評価もあります。人事を行うためにこの役職にいるという極論の人もいますが、私もその通りだと思っています。ある意味で職場は創造的な部分もあり、それが彫刻家としての能力と重なるかもしれないと思うこともあります。ですが、二つの仕事はまるで違います。私の中では矛盾することはなく、それぞれの仕事が私という人間を形成しているんだなぁと思うようにしています。人間は多面体で、その時や場所や場合によって表面に出す色合いが異なっているのです。私は長年にわたって二足の草鞋生活を営んでいるので、その使い分けが上手くなっていると自負しています。東京のギャラリーと横浜の職場、非日常と日常、個人と組織、時期によって二足の草鞋が噛み合わない時もありますが、個展開催中に思いを巡らした今日を振り返りました。

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