何故奇想に惹かれるのか?
2017年 7月 10日 月曜日
フランドルの画家ボスやブリューゲルの奇想天外な版画を、先日まで東京で開催していた「バベルの塔」展で見て、空想の産物を面白がる気質が自分にはあることを改めて認識しました。現在読んでいる「奇想の系譜」(辻 惟雄著 筑摩書房)に深く傾倒しているためか、奇想の独特なカタチやフォルムに惹かれてしまうのです。日本が世界に誇るアニメのキャラクターも、その発想の原点は東西の美術家が創造した魑魅魍魎であろうと思っています。自分が子どもの頃は、住んでいる地域にも闇が残っていました。雑木林は夜になると外灯もなく、何かが潜んでいても不思議ではない異様な雰囲気が漂っていました。狸や狐に人が化かさせることを本当に信じていました。人智を超えた創造物が身近にいること、それらに親近感を持っていること、霊界と交信できる手段があること、その他諸々の理解不能な出来事を、理解してはいけないものとして認識していることがたくさんありました。森林が開発されて宅地化が進み、空想の産物が美術やアニメの世界でしか出会えなくなった現在はどうなのか、パソコンの中の仮想現実に棲む魑魅魍魎しか身近にいなくなったため、自分は幼い頃の記憶を引っ張り出して、空想の産物を面白がっているのかもしれません。管理されている社会の中で閉塞感を覚える度に、もう一度出会いたい不思議な創造物。そこに生活の活性化を感じるのは自分だけではないはずです。奇想を扱った展覧会が盛況なのは、大自然が織り成す闇が、現代人に求められているのではないかとさえ思っています。
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Tags: 展覧会, 日常生活, 書籍
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