人形作家の講演会
2017年 5月 26日 金曜日
人形作家与勇輝氏は、子どものちょっとした仕草を捉えた愛らしい人形作りで知られた人です。作家本人特有の屈託のない語りに会場が沸きました。本人の弁から、あと2ヶ月経ったら80歳という台詞が出てきて驚きました。頭と手を駆使する工芸家は、いつまでも歳をとらないのかもしれません。今日は、職場関係の専門家の集まりが川崎市民ミュージアムの映像ホールであり、私は会計監査役で総会に呼ばれていましたが、本会議より与勇輝氏の講演会が楽しみでした。与勇輝氏の作品はテレビ番組や河口湖にある個人美術館で見たことがありました。ノスタルジックな雰囲気を持つ子どものポーズと情景、それはどういう工程を経て完成するのか、ステージに設えた画面から、その様子が伺えました。粘土で頭部を作り、石膏で雌型にして張りぼてを作る工程は、分かっていても興味津々でした。服は古生地で自ら作り、メイクを施していました。このメイクによって人形の人格が決まると言っていました。人形に表情が現れると、人形が作者を鬩ぎ立て、無我夢中で作ってしまうようです。人形に作らされてしまうと言った方が適切かもしれません。数十年も作っているベテラン作家と言えども、人形一体作り上げると心身ともにガクっとくるそうで、今まで一度も楽に作れたことはないと言っていました。精魂傾けた作品だからこそ、人の心を虜にするパワーを持って私たちに迫ってくるとも言えるのです。人形は自分に似るとも仰っていました。作品は自分の分身だから、人形でなくても自分に似るのは当然だと私は思っています。翻って自作の「発掘シリーズ」は私そのものです。私も自分自身の内面世界に嫌気がさすこともありますが、与勇輝氏の「嫌ならやめればいい。」と断言したコトバに共感しました。好きでやっていることに苦しむことはない、嫌ならやめればいい、その通りです。明日の制作を頑張ろうと思った今日の講演会でした。
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Tags: 作品, 制作
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