創作意欲について
2017年 2月 13日 月曜日
江戸時代の絵師葛飾北斎や長谷川等伯が晩年になっても創作意欲が衰えず、創作活動に励んでいたことを羨ましく思っています。私も60歳になっても創作活動の衰えはありません。寧ろ現在の方が充実しているように思えるのです。若い頃は幾度となく創作活動を諦めかけた時がありました。日本の学校で学んでいた人体塑造に意義を見出さなくなった時がそれでした。ただし、創作活動を止めようとは思いませんでした。自分が創作したい世界を探していた時期だったと思います。自分を異文化の中に押し込んで、情報がないところで自分の思いが熟成するまで待っていたんだなぁと今では振り返っていますが、当時は居心地の悪い外国で落ち込むこともありました。次に海外で創作のヒントを得て、意気揚々と帰国した時に、創作活動そのものが危ぶまれる事態になりました。30歳で公務員になり、両親を安心させたのも束の間、残業続きの仕事で創作活動に気が回らなくなったというのが本音です。創作活動が出来る出来ないというのは私だけの問題で、他者にとってはどうでもいいことでした。社会的ニーズがないのを敢えてやっていくのは自分との闘いで、そこから内なる世界がスタートしています。人はどう生きるべきか、実家は宗教が希薄だったため、私は哲学に頼りました。可能なことから始めようと思い立ち、作品制作の場所を探しました。陶彫の環境が整わないため、まず絵画制作から一歩を踏み出しました。哲学的思索と造形制作との両輪で自分を保ち、公務員と芸術家の二足の草鞋生活を軌道に乗せました。あれから30年以上経ち、自分の工房を持ち、毎年企画展を銀座のギャラリーでやらせていただいています。あと何年私は創作活動が出来るでしょうか。意欲は続くのでしょうか。これは私自身の問題です。私の創作開始は同期の仲間からすれば遅かったと思っています。その分長く長くやっていきたいと思っています。自分は諦めが悪く、拘りが強いので、そこだけは江戸時代の先人たちに負けないのではないかと思っているところです。