内観と公開について

幼い頃から内気なところがあった自分は、人に知られない秘めた内面の世界を持っていて、つい独り言を口走ったり、じっと黙ったまま過ごしたりしていました。内観は自分自身を探る上で重要なアイテムになり、今でも自己分析は習慣になっています。それは自分の理想化や夢想化もあって、ほとんど荒唐無稽な遊戯を繰り広げています。実際に夢を見た時は、夢は欲望の充足であると言うフロイトの言葉通り、本当の自分はこんな人生を送りたかったのではないかと思うこともあります。自分が評価する自己生育歴は、かなり歪曲したものであって、豊かな情操を正常に感受したことはないのではないかと思う所以です。学生時代は密かにコトバを綴っていて、恥ずかしくなると破って捨てていました。とっくに亡くなっている母方の祖母に当時のノートを見られ、自分を蝙蝠に喩えているコトバを発見されて赤面した記憶があります。いつからか内観は頭の中にだけに留めるようになりました。秘密のノートは私から消えてなくなりました。現在、私が持っている唯一の手帳は仕事上のメモがぎっしり書き込まれています。人から見られても恥ずかしさはありません。こんな書類を作成して、どこに提出したか、誰と面接をしたか、出張先や夜の会合も書いています。週末の工房での制作メモも同じ手帳に書いています。自分が過ごした記録です。手帳は10年間分くらい保管してあって、昨年この時期はどんなことをやっていたのか確認することに使っています。このNOTE(ブログ)も同じで、職種は書けないにしても、職場での出来事や美術や映画鑑賞、さらに創作メモを記録しています。これは嘗てやっていた秘密のノートではありません。公開するためのアイテムなので、人が見ることを念頭においた演出を考えて毎晩アップをしているのです。NOTE(ブログ)の記載事項に迷いがないわけではありません。もっと分かり易く書けとお叱りを受けたこともあります。秘密のノートが私に必要なくなったことが今もって不思議です。成長なのか感受性が緩んだのか、そこは定かではありませんが、NOTE(ブログ)は継続していくつもりです。

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