週末 陶土との対話

以前のNOTE(ブログ)に、素材との対話が何を意味しているのか書いた記憶があります。制作に集中した状態が続き、疲れも何も感じなくなり、周囲の状況も見えなくなる高揚気分を、素材との対話という表現で自分は言い表しています。心中穏やかでなかったり、気がかりなことがあったり、意欲が伴わなかったり、腰が引けている時は、そうした素材との対話はやってくることはありません。精神の安定と意志の強さがないとその気分にはならないのです。自分の眼は、自分の手になり、素材だけを捉えて無我夢中で何かを探っている状態です。前後の見境がなくなるので、時間も空間もそこには存在しません。今日はそんな素材との対話が続きました。朝からいつものように工房に篭って制作を開始しました。今日も大学院生が一緒で、締め切りの迫った切羽詰った彼女の横顔を見ていると、自分も気合が入りました。私にとって素材は陶土です。自宅にいる時は手の皸(あかぎれ)が気になっていましたが、工房では身体を省みることはなく、陶土以外は眼に入らなくなっていました。タタラや紐作りで大きな陶彫部品を成形し、柱陶の彫り込み加飾を行っていました。昨日は乾燥した陶彫部品に仕上げや化粧掛けを施し、窯に入れたり、制作工程の確認をしたりして過ごしましたが、今日は陶土に立ち向かうだけの一日だったので、そのような精神状態になったのだと思います。工房での7時間弱は我を忘れて成形に没頭しました。夕方、我に返った時に肩や腰が痛んでいて車の運転がやっとでした。大学院生を車で送った後、自宅で動けなくなりました。心も身体も緩急があって当然ですが、今日は極端な一日だったようで、明日からの勤務に影響するのではないかと心配しているところです。

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