週末 若いアーティストの帰国

工房に頻繁に出入りしている若いスタッフは、既にアーティストといっていいくらいの存在感があります。彼女は大学院で先端芸術を専攻しています。昨年はインドネシアに留学していましたが、この夏も1ヶ月間ジョグジャカルタに滞在し、大学院修了制作のモティーフを探してきました。華奢で可愛らしい外見とは裏腹に、腰の据わった制作姿勢を見せていて、異文化に対する柔軟な感受性をあわせ持っているように思えます。インドネシアのバティックに見られる文様が、宗教や呪術に由来しているところを制作動機に取り入れようとしていて、彼女がイメージする世界観が楽しみでもあります。その彼女が日本に帰国して、久しぶりに工房に姿を見せました。いよいよ修了制作に取りかかるようで、途中で放置していた支持体に修整を加えていました。自分も今夏インドネシアに行って来たので、彼の地に1ヶ月もいた彼女に逞しさを感じました。ナシゴレンやミーゴレンばかり食べていたのかと聞いたら、ずっと自炊をしていたようで、豚肉が食べたくなって仕方がなかったという答えが返ってきました。インドネシアはイスラム教徒が多いため、豚肉を売っていないのです。友達がジカ熱やら麻疹にかかって大変だったというエピソードもあって、のんびりとした1ヶ月ではなかったようです。二科展に出品している後輩もそうですが、私は彼女にも背中を押されて制作をしています。今日も朝から工房で制作三昧でした。私の制作は現在のところ専ら陶彫ばかりで、なかなか木材を使った構造体制作に取りかかれません。来週の三連休あたりで、そろそろ木材の加工をしようと思っているところです。

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