バリ島 20年前の記憶を辿って…①

昨晩、バリ島のデンパサール空港に到着しました。バリ島は20年前に大学時代の友人たち3家族と来ていました。自分にとってバリ島は、ヨーロッパ滞在から帰って初めて出かけた海外で、ツアーの便利さを知った機会でした。現地ガイドの日本語の堪能さもその時初めて知りました。あの頃、自分は既に公務員になっていて、短い休暇を楽しむ海外旅行をするならツアーに申し込むのが最適と思ったのでした。今回も現地ガイドが便宜を図ってくれました。私たちは繁華街クタにあるホテルに2泊することにしました。私は20年前の記憶を辿ってバリ絵画の盛んなウブドに行きたいとガイドに申し出ました。確かその途中に木彫や銀細工の村があったと思い出し、今日はウブドまでの行程を楽しむことにしました。バリ島は20年前とはまるで変わってしまっていて、都会化された舗道には渋滞が日常的に発生し、私たちもその渦中に入っていきました。アジアの交通事情は、今まで行ったカンボジアやタイも同じで、ここも騒々しさと混乱に溢れていました。銀細工の店や木彫の店に立ち寄りましたが、私の心を打つものはなく、ここでも20年前の素朴さは失われていました。以前は木彫工房で制作途中の仮面を見つけて、焦る作者を尻目に彫り跡が残るガルーダの仮面を購入したのでした。今回、木彫のマス村で私が求めたのはアンティックな仮面でした。値が張りそうな仮面でしたが、店主の言う値段が安かったので、我を疑いつつ言い値で購入することにしました。店主が昔の値段を一桁間違えたのではないかとガイドが言っていました。ウブドでは20年ぶりにネカ美術館を訪れました。当時新しかった美術館も古くなって、革新的な現代絵画が増えていましたが、やはり伝統に則った細密な風景や風俗を描写したバリ独特な絵画が優れていて、昔と同じ感動を齎せてくれました。ウブドからの帰り道にケチャックダンスを見ました。これも昔見た記憶がありますが、猿に扮した男性合唱がリズムをとるのが特徴的です。姫を助けるため悪の大王と戦う王子の物語ですが、劇に使われる仮面のデザインがユニークで、どれも美しいと思いました。

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