金曜日の夜は美術館へ

国公立美術館の金曜日は20時まで開館していて、仕事をしている者にとってこれは有り難い延長時間になります。週末を目の前にして、ぐったり疲れた身体を引きずって東京の美術館へ行くのは厳しいと思う面もありますが、少しでも非日常空間に浸ると、鋭気が甦ってくるのが不思議です。ただ、疲労に拮抗して、何となく立ち寄るという発想ではなく、展覧会を観たいという意思があって、東京まで足を運ぶことが多いと思っています。今日は出張の後に、最寄りの駅で家内と待ち合わせ、東京上野に向かいました。世界文化遺産に登録されたル・コルビュジエ設計の国立西洋美術館で開催中の「カラヴァッジョ展」に行ってきました。夜になっても鑑賞者は多く、犯罪者の烙印を押された特異な画家の、日本での人気が窺い知れました。「カラヴァッジョ展」についての感想は後日詳しく述べたいと思いますが、光陰の捉えの素晴らしさに以前から注目していた画家なので、今回まとまった作品が来日していたことに感動を覚えました。もうひとつ、国立西洋美術館を建築したスイス人建築家ル・コルビュジエにも私は注目していて、改めて美術館全体のデザインを見直す契機になりました。世界文化遺産に登録されるのは喜ばしいことで、これも別の機会に稿を起こしたいと思います。私は世界的な巨匠ル・コルビュジエを知ったのは、そんなに昔のことではありません。滞欧中に知識としてル・コルビュジエという名前を覚えただけでしたが、国立西洋美術館は学生時代からよく出入りしていた美術館でした。前庭にロダンの作品が野外展示されているので、前庭だけなら無料なので利用価値は高かったのです。学生時代に具象彫刻をやっていた私は、ロダンやブールデルは格好な塑造研究の対象でした。当時は同美術館がル・コルビュジエの設計によるものとは知らず、簡素な構造の美術館くらいにしか思っていませんでした。今になって漸くル・コルビュジエの足跡に気づき、機能的な美を再確認した次第です。今晩はカラヴァッジョとル・コルビュジエに酔いしれた特別な夜になりました。

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