「第一局所論」について
2016年 2月 5日 金曜日
「フロイト入門」(中山元著 筑摩選書)第三章「夢とヒステリー」のまとめを行います。第三章の中心部をなす「夢の仕事」に関しては、既に内容をアップしていますので、それに続く「第一局所論」について書き、これをもって全体のまとめとさせていただきます。「第一局所論」とは何か、文中から引用します。「夢とヒステリーのような神経症は、無意識的な欲望とその抑制という同じメカニズムによって発生していることがわかる。~略~人間の心は意識、前意識、無意識の三つの場所=審級で構成され、それぞれの間に二つの検問所が存在していることが指摘されてきた。これが第一局所論と呼ばれるものであるが、この局所論は人間の心、知覚、記憶についてのさらに基本的なモデルに依拠したものである。~略~フロイトが考えた心のモデルでは、人間の心をさまざまな場所に分解して考えようとする。人間の心は、さまざまな部品で構成された装置のようなものであると考えるのである。フロイトは『心の仕事に従事している道具を、たとえば組み立て式の顕微鏡やカメラのようなものとみなす』ことができると考えた。~略~フロイトはこの反射装置で、『心的プロセスは、一般的に知覚末端から運動末端へ経過する』という想定を示したのである。」この知覚末端と運動末端の関係を調べていくうちに通常とは逆のプロセス、つまり退行もあると考えて、精神疾患治療の手掛かりにしたことが伺えました。