「絶望名人カフカの人生論」読み始める

フロイトの「夢解釈」上巻を読み終え、下巻に入る前にちょっと浮気をして、軽い書籍でリフレッシュしたいと思います。新たに購入した「絶望名人カフカの人生論」(カフカ著 頭木弘樹訳 新潮社)は、職場にある新聞記事で知りました。「作家と勤め人の2つの顔があったカフカには、オフィス生活を嘆いた手紙がある。~略~労働時間などの勤務制度がどんなに働きやすいものであっても、本人が楽しく生き生きと働かないと、大作家には失礼ながら大きな成果は生まれにくいだろう。」(日本経済新聞)という記事を読んで、二足の草鞋生活を送る自分は過敏に反応してしまいました。数頁を捲ったところで、これは常軌を逸した不思議な書籍であることがわかりました。カフカの絶望は、生半可ではなく救いようのないもので、この例えようのないネガティヴな感覚のどこから20世紀を代表する名作が生まれたのか、次の時代を予感する新しい文学は、健康的でバランスがとれた人物から生まれなかったのかもしれないと思いを巡らせました。ひょっとして自分はカフカの絶望に共感するところもあるかなぁと思っています。共感を覚えることで気持が楽になったり、奇妙なことにヤル気が出たりすることもあるのかもしれません。そんな心理が擽られれば面白いなと思って本書を通勤の友として読んでいきます。

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