「夢の素材と夢の源泉」(d)まとめ

「夢解釈」(フロイト著 金関猛訳 中央公論新社)の第五章「夢の素材と夢の源泉」の(d)「類型夢」のまとめをします。「(私たちが)類型夢に特別な関心を向けるのは、それらの夢がすべての人間において同じ源泉に由来すると推定しうるからでもある。」この類型夢分析で語られる私たちの幼児期の心的体験は、私にとって刺激的なものになりました。それは、私は男なので教育されていない幼児期には、父に敵意を持ち、母に性的関心を持ち、兄弟姉妹を押しのけ、利己的欲求を満たそうとした時期があったとする理論です。いずれ教育されて道徳観が身につき、家族に対し敬意が生まれるのですが、本能剥き出しの子どもには父や兄弟姉妹に対する除去(死)の欲求があると言うのです。さらに精神神経症者に見られるものが子どものものと一致することから、そんな分析が成されたことが論じられています。「数多くの私の経験からすると、のちの精神神経症者となるすべての人々の幼年期における心の生活において、両親が主要な役割を演じる。そして、のちの神経症の症候学にとってひじょうに重大な意味をもつ心的興奮の素材は幼年期に形づくられ、そのまま揺らぐことなく存続する。~略~私は精神神経症者と、正常であり続ける人々とが厳密に区別されるわけではないと思っている。精神神経症者がまったく新奇で彼らのみに固有なことを創造できるわけではない。精神神経症者が両親に対して抱く惚れ込みや敵意を含んだ欲望は、大多数の子どもの心の中でそれほどはっきりと強烈には起きていないことを、拡大して見せてくれるのであり、そしてそのことによって、子どもたちの心で起きていることを私たちに教えてくれる~こうした考えのほうがはるかに蓋然性が高く、また、ときどき正常な子どもを観察すると、それが裏づけられるのである。」

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