ローマ遺跡破壊報道に思うこと

私は職場に配達される複数の新聞に日々目を通しています。職種のことで記事になっている場合、自分は必ずスクラップをしています。それは将来を見据えた展望だったり、残念な不祥事だったりしますが、スクラップは職種のことに限らず、自分の興味関心事にも及んでいます。先日の神奈川新聞の読者欄に注目したので、今日はこれを取り上げます。理由は美しい列柱の写真が掲載されて興味を引いたのですが、内容は残念なものでした。「パルミラ爆破に憤り」というタイトルで読者が実直な感想を寄せていました。パルミア遺跡はシリアにあります。シリアと言えば難民がヨーロッパに押し寄せていることが話題になっていますが、イスラム国の占拠により、遺跡の破壊が最近報じられたばかりです。パルミラ遺跡はローマ時代の貴重な遺跡のひとつで、円形劇場や列柱が立ち並ぶ道路があり、規模が大きいことで世界的に知られています。自分は20代の頃に地中海に面した遺跡を見て歩きました。それが現在の「発掘シリーズ」になって、作品を作り続ける原動力になっているのです。中東にもこうした遺跡が残されていて、近いうちに訪ねてみたい衝動に駆られていたところです。それが何故破壊されたのか、イスラム国の非情な行為は自分の理解を超えています。歴史が紡いできたかけがえのない人類の文化は、時の暴挙によってあっという間に無くなってしまうのです。自分のイメージの源泉ゆえに残念でなりません。

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