ボッティチェリの聖母子像

先日、東京渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ボッティチェリとルネサンス フィレンツの富と美」展を見てきて、勤務中の緊張感が消え、ほっと和んだ瞬間がありました。キリスト教美術で思い出すのは、自分が20代にヨーロッパで暮らしていた頃に、教会建築や堂内を飾る荘厳な宗教画に辟易していた時期があり、自分の生育歴にない異文化の胎内で、やりきれない嗚咽感に襲われたことがありました。そんな若かりし頃の記憶からは想像も出来ないのですが、現在の自分はキリスト教美術によって癒やされています。本展に出品された宗教画のうちボッティチェリの作とされる聖母子像4点に、自分は静かで深い感動を受けました。羅列すると「聖母子と二人の天使(ワシントン・ナショナルギャラリー)」「開廊の聖母(ウフィツィ美術館)」「聖母子と二人の天使、洗礼者聖ヨハネ(アカデミア美術館)」「聖母子と二人の天使(ストラスブール美術館)」の4点です。注文主は当時フレンツェで富を成していたメディチ家とも考えられ、青年だったボッティチェリのスタイルにはリッピやヴェロッキオの影響が見て取れると図録にありました。経済の繁栄と密接だったそれぞれの画家の工房に思いを馳せながら、丁寧に描かれた宗教画をじっくり見せていただきました。

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