フェルメールの「天文学者」

先日出かけた国立新美術館で開催中の「ルーブル美術館展」の目玉は、なんと言ってもヨハネス・フェルメールによる「天文学者」です。フェルメールの現存作品は40点弱とも言われ、この数少ない作品と、光を取り込んだ室内と人物を緻密に描いた作風が、絶大な人気を博している画家なので、「ルーブル美術館展」の混雑は、偏にこのフェルメールの来日によるものと考えられます。自分も「ルーブル美術館展」に行く目的の一つは、このフェルメールを見てみたいというものでした。計算された構図と窓から入り込む光の美しさは鑑賞者を裏切らず、自分もフェルメール・ワールドを堪能してきました。この「天文学者」と、対を成す作品がドイツの美術館が所蔵する「地理学者」であると解説にありました。学者の前に置かれた天球儀、絵画が描かれた17世紀には科学の発達が見られ、絵画そのものも科学的現実性を強く打ち出しているように思えます。現存する作品が少ないというのも、フェルメール・ワールドの希少価値を高めていて、つい崇めるように見てしまうのは私だけではないでしょう。

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