「幻想絶佳 アールデコと古典主義」展

今日で終了した展覧会を取り上げて恐縮ですが、先日、東京目黒にある東京都庭園美術館の「幻想絶佳 アールデコと古典主義」展に行ってきました。まず当美術館そのものがアールデコ様式で建てられていて、独特な佇まいが特徴的です。最近リニューアルしたばかりで、装飾美術家アンリ・ラパンによって設計され、ルネ・ラリックやイヴァン=レオン・ブランショによる壁面に眼が奪われました。これはリニューアル前からあったものですが、改めて室内装飾の美しさが際立っていました。アール・デコは幾何学的で図形的な文様や流線型がモダンなスタイルとして、装飾や日用雑貨に及んだものです。さらにアフリカ・アジア・南米や古代エジプトのエキゾティズムと結びついて独特な美観をもつに至りました。古典主義もそうした風潮の中で取り上げられ、具象性の強い作品がアール・デコ=スタイルの中に組み込まれていったようです。プゲオン作「蛇」に見られる寓話的な具象絵画や「パリ14区役所別館祝宴の間 壁画下絵」は人体リアリズムが構成された壁画作品として印象に残りました。抽象性と具象性が装飾美術として並存する楽しさは、アール・デコらしい雰囲気があって自分の趣向に合うのです。ミュージアムショップで今回の展覧会の図録と旧朝香宮邸に関する書籍を購入しました。機会を改めて、こうしたアール・デコ建築に関する自分なりの考察もしてみたいと思っています。

関連する投稿

  • 土練りのあと美術館へ… 成形に使う陶土がなくなり土練りをしました。陶彫は土を単身ではなく複数の土を混ぜて使っているのです。近々新しい土錬機が来るので、今使っている土錬機最後の仕事かもしれません。自分と懇意にしている陶芸業者 […]
  • 週末 過密な鑑賞スケジュール やっと週末を迎えました。年度末が近づきウィークディの仕事が少しずつ多忙になってくると、週末が楽しみでなりません。今月に入って美術展に行っていないので、今日は行きたい展覧会をチェックして、丸一日かけて […]
  • 「皇室の名宝」展 一昨日の上野の美術館(博物館)巡りの2館目。東京国立博物館で開催されている「皇室の名宝」展に行ってきました。駆け回った3館のうち一番混雑していたのが、この「皇室の名宝」展でした。展示されているのは有 […]
  • 京都 1年ぶりの再会 京都には滞欧時代によく遊んだ版画家の渡辺聖仁さんが住んでいます。昨年は久しぶりに会って旧交を温めましたが、今年は1年ぶりの再会です。まず自分の図録を渡して個展の報告。すると渡辺さんも11月に名古屋で […]
  • 「AボーシャンとGモーゼス」展 先週の自分の個展開催時に、銀座を拠点に美術館を見て周り、1週間で6つの展覧会を見てきました。今日はその最終報告。新宿の東郷青児美術館でやっていた「アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼス」展。正規の […]

Comments are closed.