宗教を超えた静謐な造形

今日の日本経済新聞に「舟越保武彫刻展」の記事が掲載されていました。現在福島県で開催されているようですが、東京にも巡回してくるので楽しみにしています。故舟越保武は日本を代表する彫刻家の一人で、キリスト教信仰をテーマにした作品が多いことで知られています。島原の乱で殺害されたキリシタン武士をモチーフにした「原の城」をどこかで見て、自分は深い感銘を受けた記憶があります。宗教を超えた造形性を持つ彫刻で言えば、自分の師匠である池田宗弘先生の先達とも思えて、舟越保武は自分には身近に感じられる巨匠です。今日の新聞記事に興味のある一文がありました。「釣り好きだった舟越は、岩肌を削る渓流を彫刻家に見立てたことがある。何百年もかけた自然の彫刻に、数年がかりの我々の彫刻は及びもつかない。人間は、巨岩の前で風に吹かれる花びらのように小さな存在だ。」という箇所で、自然を前にして人間の作り出す造形の小ささを嘆きつつ、無駄を削ぎ落とした精神のカタチに自分は惹かれてしまうのです。

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