イメージのひとり歩き

夢の中で思い描く立体作品があります。自分がもう一度彫刻を学ぶ学生に戻ったら、どんな作品を作っているのだろうと、イメージの中で遊ぶ自分がいるのです。夢で見る作品は鉄の廃材を寄せ集めた人体彫刻です。ジャコメッティのような細い人体、いや全身が細いわけではありません。手や肩、腰や足は古くなった機械の一部を使った鉄材で作られて、その部位がわかるような塑造がなされています。あとは細い鉄筋のようなもので作られ、かろうじて人体が立ったり、ポーズをしたりしている虚無な彫刻です。師匠の池田宗弘先生が作る真鍮直付けの猫には、痩せ細って骨だけになり、腹に穴のあいた凄まじい作品があります。その存在感が若い頃の自分に強烈な印象を残していて、夢で見た人体作品も穴だらけの途切れ途切れになったカタチを自分にイメージさせるのだと思っています。自分は真鍮ではなく鉄で作っていて、それは茶褐色に錆びた屑鉄です。これほど鮮明なイメージに囚われている自分は、夢の中では若々しい学生で、これからこの彫刻を発展させるべく意気揚々としているのです。まさにイメージのひとり歩きですが、定年になり時間が出来た時は、果たしてこのイメージを具現化しようという境地に立てるのでしょうか。

関連する投稿

  • GW④ 「陶紋」の制作継続 ゴールデンウィークの4日目を迎えました。一昨日から小品「陶紋」の制作に入っていて、今日も制作を継続しました。新作の「陶紋」は5点作る予定です。そのためのタタラを準備していたので、今日は昨日に続いて4 […]
  • 週末 テーブル彫刻の陶彫開始 週末になりました。在宅勤務が増えてきている昨今は週末になっても実感がありません。それでも工房に出かけると週末の雰囲気が漂います。今日は新作のテーブル彫刻に置く陶彫部品の成形を開始しました。新作のテー […]
  • テーブル彫刻「発掘~突景~」について 現在作っているテーブル彫刻の題名を「発掘~突景~」にしました。同じ大きさのテーブル彫刻は、一昨年前に発表した「発掘~角景~」、昨年発表した「発掘~曲景~」があり、今回はそれに並ぶ3作目になります。「 […]
  • 非存在という考え方 あまり夢を見ない私が、ある晩に見た夢を覚えていて、夢の中では学生時代に遡って彫刻を学び始めた頃の私になっていました。人体塑造をやっていた私は、どこの部分の粘土を削り取ったらいいのか散々考えていました […]
  • 週末 砂マチエール貼り付け作業 今日は若いスタッフ4人、家内と私の合計6人を工房に集めました。スタッフは10代から20代の女性たちで、美術に関係した人ばかりです。今月の制作目標として一番に掲げているのが、砂マチエールの貼り付け作業 […]

Comments are closed.