渋谷の「だまし絵 Ⅱ」展

先日、渋谷のミニシアターへ行った折、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「だまし絵 Ⅱ」展を見てきました。だまし絵と言えば思い出すのが、20代の頃の話ですが、滞欧中に見たG・アルチンボルドの果物や樹木を使った人の横顔で、その精巧な油彩画に驚いてウィーン美術史美術館に通った記憶です。今回の展覧会にもアルチンボルドの「司書」等が来ていて嬉しく思いました。芸術の虚構性はどの作品にもあるものですが、この展覧会は眼の錯覚を促す詐欺的な楽しさに溢れていました。イスラエルのD・ローズィンの「木の鏡」は、小さな板を基盤状に敷き詰め、観ている自分の陰影をカメラとモーターによって木片が動いて作り出すもので、ハイテク技術と木という素材が織り成す不思議な世界が出現されていました。高松次郎やL・ケイガンの影を使ったトリックも楽しいものでした。

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