「存在と時間」における現象学

現象学とは、いかなる先入観、形而上的独断にも囚われずに存在者に接近する方法を示唆する哲学で、いろいろ調べていくと現象学で有名な哲学者フッサールの前段階で、ヘーゲルが弁証法的現象学を唱えていることがわかりました。フッサールは超越論的現象学を唱え、存在に対する独自な哲学を展開しています。自分はフッサールを読んだことがないので、現象学の何たるかを咀嚼して説明をすることは出来ませんが、現在読んでいる「存在と時間Ⅰ」(マルティン・ハイデガー著 原佑・渡邊二郎訳 中央公論新社)にフッサールとの関連が多く出てきます。それもそのはずでフッサールがフライブルグ大学において現象学の研究に打ち込んでいた時期に、多くの後継者を育成したようです。その第一人者がハイデガーで、ハイデガーの手により現象学の存在論的な発展が推し進められました。ハイデガーは実存的な人間存在である「現存在」の存在体制としての「世界内存在」構造を分析し、大著「存在と時間」が生まれるに至ったと言えます。同書より現象学に関する一文を引用します。「現象学は~略~おのれを示す当のものを、そのものがおのれをおのれ自身のほうから示すとおりに、おのれ自身のほうから見えるようにさせるということにほかならない。」ハイデガーはこうした現象学の概念を通して「現存在」の存在としての意味の真相を突きとめました。これは解釈学的現象学というハイデガーが唱えた現象学で、フッサールのそれとは一線を引いたものになっています。

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