「存在と時間」における現象学
2014年 8月 20日 水曜日
現象学とは、いかなる先入観、形而上的独断にも囚われずに存在者に接近する方法を示唆する哲学で、いろいろ調べていくと現象学で有名な哲学者フッサールの前段階で、ヘーゲルが弁証法的現象学を唱えていることがわかりました。フッサールは超越論的現象学を唱え、存在に対する独自な哲学を展開しています。自分はフッサールを読んだことがないので、現象学の何たるかを咀嚼して説明をすることは出来ませんが、現在読んでいる「存在と時間Ⅰ」(マルティン・ハイデガー著 原佑・渡邊二郎訳 中央公論新社)にフッサールとの関連が多く出てきます。それもそのはずでフッサールがフライブルグ大学において現象学の研究に打ち込んでいた時期に、多くの後継者を育成したようです。その第一人者がハイデガーで、ハイデガーの手により現象学の存在論的な発展が推し進められました。ハイデガーは実存的な人間存在である「現存在」の存在体制としての「世界内存在」構造を分析し、大著「存在と時間」が生まれるに至ったと言えます。同書より現象学に関する一文を引用します。「現象学は~略~おのれを示す当のものを、そのものがおのれをおのれ自身のほうから示すとおりに、おのれ自身のほうから見えるようにさせるということにほかならない。」ハイデガーはこうした現象学の概念を通して「現存在」の存在としての意味の真相を突きとめました。これは解釈学的現象学というハイデガーが唱えた現象学で、フッサールのそれとは一線を引いたものになっています。
関連する投稿
- 「超越論的ー論理学的問題設定の諸疑問」第69節~70節について 「形式論理学と超越論的論理学」(エトムント・フッサール著 立松弘孝訳 […]
- 東京駅の「きたれ、バウハウス」展 先日、東京駅にあるステーション・ギャラリーで開催中の「きたれ、バウハウス」展に行ってきました。バウハウスとはドイツ語で「建築の館」という意味です。1919年に建築家ヴァルター・グロピウスによって設立 […]
- 新聞掲載のフロイトの言葉より 昨日の朝日新聞にあった「折々のことば」(鷲田清一著)に興味関心のある記事が掲載されていました。全文書き出します。「百パーセントのアルコールがないように、百パーセントの真理というものはありませんね。ジ […]
- 師匠の絵による「人生の選択」 昨日、長野県の山里に住む師匠の池田宗弘先生から一冊の絵本が送られてきました。「人生の選択 […]
- 建築に纏わる東京散策 今日は夏季休暇を取得して、前から計画していた東京の展覧会等の散策に出かけました。先日も夏季休暇を使って「江戸東京たてもの園」に行ったばかりですが、今日も建築に纏わる散策になりました。例年なら夏季休暇 […]
Tags: ドイツ, 書籍
The entry '「存在と時間」における現象学' was posted
on 8月 20th, 2014
and last modified on 8月 22nd, 2014 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.