都市について Ⅱ

昨日のNOTE(ブログ)の続きです。現在読んでいる「視線とテクスト」(多木浩二著 青土社)に「原・都市」というコトバが出てきます。都市誕生の契機が述べられていて注目しました。「まだ定住地をもたない人間が大地の上にひとつの領域を描きはじめたときにすでにこの原・都市はうまれていたのである。『原・都市』は自然と文化との対立をうみだすというより、自然を経験する人間の生の形式化であったように思われる。移動する生活の中心に神話的なしるしが立って空間をうみだすようになり、またマンフォードが指摘しているように、生きた人間の定住に先立って『死者の都市』(埋葬地)が生じ、墓は移動する人間にとって、時をおいて帰ってくる動かぬ目印になることもありえたかもしれない。自然と死は、いまの都市の観点からみると都市の反対物のように見えるが、その経験によって、はじめて、原・都市の空間はかたちをとりはじめたのである。自然と死、そして性が都市を成り立たせたマトリックスである。女性の性的な力、女性による農業の発明などは、狩猟者のとがった武器に象徴される男性的なものよりも根深いということもできよう。『原・都市』は死や性的欲動の空間を、神話的な知のなかに組みこみ、それを大地に象徴的空間として描きだすエクリチュールから生じていたのである。」

関連する投稿

  • 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
  • 「《逸楽の家》」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「3 […]
  • 「結語」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「結語」の「1 木彫と陶器」「2 親密な環境における彫刻」「3 […]
  • 「状況-思考の神秘的内部を表すこと」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「1 […]
  • 「文化的総合」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「2 […]

Comments are closed.