イサム・ノグチと李禹煥

今日は自分が少なからぬ影響を受けた2人の芸術家について書きます。2人に共通するところは外国籍でありながら日本に関わりが深く、そのため実際の作品を目の前で見ることができるので、親近感があることです。イサム・ノグチは主に石を扱いながら、周囲の空間を変容させる装置としての彫刻を提案しました。広場の設計に積極的に関わったのが顕著な例と言えるでしょう。20世紀末から彫刻は美術館の台座から外へ飛び出し、野外に置かれる立体造形になりました。西欧には計画的に構築された都市が多く、広場には遙か昔から彫刻が置かれていました。現代日本でも大都市には石や金属による野外彫刻が見受けられるようになりました。イサム・ノグチはその先駆けとなり、また北海道の地に広場の設計も手がけています。李禹煥は周囲の空間を変容させる装置としての立体造形を提示している点はイサム・ノグチと変わりません。ただし、あるがままの状態で提示する「もの派」としての思想があるので、同じ石を扱っていても、素材には手を加えず、そのものの配置や関係性を問う開かれた世界を表現しています。こうした表現にはまず思想ありき、と自分は考えますが、韓国生まれで20代で日本に移住した李禹煥は、哲学的思索を日本語で著しているところに自分は驚きを隠せません。ヨーロッパ語は苦手としながらも、彼にとっては外国語である日本語の語彙力に圧倒されてしまいます。2人とも放浪の民という意識がありますが、より大きいグローバルな世界観を持ち得ているところが似ていると思っています。

関連する投稿

Comments are closed.