「SIMONDOLL」 四谷シモン展

地元橫浜のデパートにある美術館で開催中の「SIMONDOLL」展は、四谷シモンのデビュー時代から現在までの代表作でまとめられている展覧会です。四谷シモンを人形作家と呼んでいいものかどうか自分には疑問で、差し詰め人形を媒体にする造形作家と言う方が相応しいように思えます。自分には透明な棺桶のように見えたボックスに、官能的な球体人形が入れられて、また一部に内部構造が見えている人形は、まさにオブジェとしての存在感があって、四谷シモンはやはり自分の好きな作家の一人だと思っています。人形作家の中にはリアリズムを追求し、さらにオタクな?肢体に過激な表現を求める作家もいますが、四谷シモンの人形には芸術としての気品が感じられると思っています。学生の頃、アングラ劇に興味を持って、状況劇場等に足繁く通った時期が自分にはありました。当時、四谷シモンは俳優として参加していたようですが、李礼仙、小林薫や根津甚八等に代替わりし、自分の記憶の中では俳優としての四谷シモンより、既に人気を博していた人形造形作家としての彼が印象に残っています。その当時からシュルレアリスム作家の一人として雑駁な捉えをしていた自分でしたが、今回の展覧会で過去の作品を総括的に眺めると、流派としては語れない部分があり、その独特な継続的世界観に改めて魅了された次第です。

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