週末 恩師による近代詩講演会

著述家笠原実先生の講演会が横浜港北区にある大倉山記念館でありました。笠原先生は自分の恩師にあたる人で、毎年銀座の個展に来ていただいて、美術評論もしてくださっています。かなりのご高齢ですが、凛とした姿勢や講演内容の密度の濃さは、ずっと変わらず、とくに詩が好きな自分にとっては貴重な存在なのです。日本の詩の歴史を紐解けば、古くは万葉集に始まりますが、いわゆる現在読まれている詩の形態になるには、明治時代に出版された「新体詩抄」を待たなければならなかったこと、「於面影」において森鴎外らがゲーテ、バイロンを訳したこと、その森鴎外(林太郎)が作詞した横浜市歌にも触れて「詩」と「詞」の違いを論ぜられていました。その後の詩の展開として「早稲田文学」や「文学界」等取り上げて、最後には北村初雄のハイカラな詩へと結びつけていく講演でしたが、時間が押して最後のところでもう少しお話が聞きたかったなぁと思いました。ともかく楽しい時間で、自分が憧れる詩の創作にも触れていて、大変参考になりました。自分は詩的世界はコトバに限らず造形にもあって、まさに自分が現在作っている彫刻にも通じていると考えています。そんなことを思い巡らせながら午後のひと時を過ごしました。今日は以上のような講演会があったので、工房へは早朝出かけていって成形をやっていました。これが「発掘~層塔~」ラストの成形になる予定です。明日はそれぞれの陶彫部品の仕上げと窯入れ準備をしたいと思います。

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