厭世主義否定の思考を示す
2014年 2月 27日 木曜日
哲学者ニーチェは若い頃にショーペンハウワー著「意志と表層の世界」を読んで、厭世主義に貫かれた哲学に傾倒したことがあったようです。自分はニーチェ著「悲劇の誕生」を読んで、その源泉を探るべく「意志と表層の世界」を読んだわけですが、自分もショーペンハウワーの大著作に圧倒されました。ショーペンハウワーの生涯をかけて展開された共苦的な厭世主義の哲学は、衝撃を与えられることは請け合いですが、自分にとって何かしっくりいかない感覚が残りました。世界は苦悩で満ちているという発想は人生観を活性化する裏返しのようなものではないかと感じ、自分は共苦的な厭世主義に陥らないようにしたいと思いました。「ツァラトストラかく語りき」(ニーチェ著 竹山道雄訳 新潮社)では厭世主義を否定する箇所があったので注目しました。抜粋して引用いたします。「もしこれらの人々『厭世主義者』が衷心よりの同情者であるならば、かれらはかれらの隣人に、その生をより厭悪すべきものと為す筈ではないか。悪意あること、之がかれらの真の慈悲である筈ではないか。」解説によれば「かかる隣人への同情を説く厭世主義もまた論理的に矛盾である。人にしてもし真の厭世主義を奉ずるならば、隣人をもこの人生から逃れやすくしてやるべき筈ではないか。隣人にはむしろ峻酷な態度を以て対して、その生をより厭わしきものにしてやるべき筈である。」とあります。厭世主義に対する姿勢がよく表れている箇所だと思います。
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Tags: ドイツ, 書籍
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