他愛のない夢を思う

私は自分の工房を持つことが若い頃からの夢でした。相原工房は今の自分にとって申し分のない空間で、そこに創作意欲と癒しの両方を感じ取ることができるのです。ところが欲望は限りないようで、夢でまるで違う工房の空間を見ることがあります。古板を張った床、白い壁に碁盤状になった棚、天井は鋼管剝き出し、机は古木、細い鋼鉄を加工した椅子、数え上げればキリがないほど充実した空間に自分が住んでいるのです。かつてNOTE(ブログ)に書いた記憶がありますが、このところまたそんな夢を見ています。夢の中で人は登場しませんが、その空間のイメージはどこからくるのか、どこかで見た部分の組み合わせには間違いはありません。たとえば工房の扉には金属の取っ手がついていますが、これは横須賀のカスヤの森美術館の扉にあった取っ手です。また錆鉄で出来た自分の彫刻の雛型が棚に飾ってあって、直方体や立方体に負の人体が刻まれた作品は、かつて見た夢の作品の続きのようなのです。新作のイメージは制作中にふと湧いてきますが、それとは別に理想とする空間願望が夢に現れると言ったらいいのでしょうか。他愛のない夢とは言え、あまりにも具体的で不思議なイメージに自分は半ば戸惑い、半ば酔っています。

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