クリスマスに思い出すこと
2013年 12月 25日 水曜日
街がイルミネーションで煌びやかになる季節です。職場が横浜市西区にあり、その西区には横浜駅やみなとみらい地区があるため、この時期は大勢の観光客で賑わっています。職場を一歩出ると街は浮かれ気味で、仕事を終えて帰路を急ぐ身には街の雰囲気が些か馴染めません。さて、今日はクリスマスですが、自分にとって忘れられない思い出があります。幸い海外で数年に亘って経験することができたクリスマスですが、オーストリアのウィーンでは市庁舎前の広場に大きなツリーがあって、その周辺にクリスマスグッズを売る店が立ち並び、香料の効いた温かいワインを飲んだ思い出があります。この時期売り出されるシュトーレンという干した果実や穀物の多く入ったパンが大好物になりました。ステファンス大聖堂では静かな祈りを捧げている場面にも遭遇しました。ルーマニアとロシアの国境近くの小さな村で過ごしたクリスマスも忘れられません。木造りの教会で歌われる讃美歌、村人の民族衣装、子どもたちが各家々を歩いて扉の外で歌うコリンダ、全てが宗教に精神の支えを感じずにはいられなかった瞬間でした。雪深い山村で過ごしたクリスマスにヨーロッパの原点を見る思いでした。家々の室内を彩る絨毯とクリスマス用の飾りつけ、手作りのご馳走、象徴化・抽象化された家の柱の彫り込みに悪魔を払うカタチとしての伝統を垣間見て、ルーマニア出身の現代彫刻の父ブランクーシを重ねて見ていました。あれから30年が経とうとしています。オーストリアやルーマニアではどんなクリスマスを迎えているのか、もう一度彼の地を訪れたい願望があります。寒さ対策を万全にして。
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Tags: ウィーン, ルーマニア, 散策, 木彫, 芸術家
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