霊学と人智学について

霊学も人智学も聞きなれない学問なので、現在読んでいる「シュタイナーの思想と生涯」(A.Pシェパード著 中村正明訳 青土社)の中に、この学問に関連した箇所を見つけ出し引用することにしました。まず、シュタイナーの自伝から霊視が確認された子供時代のことを抜き出します。「シュタイナー自身が語るところによると、早くも八歳のときから、触るなどの物理的接触ができないという意味で物質界の現実とは異なる現実に、気がついていたという。だが、その現実は物質界の現実とは異なると言っても、いつも変わらぬ完全に客観的な仕方ではっきりと霊視されたので、本物であって幻影ではないという確信が得られた。」次に神智学協会に所属することになったシュタイナーの講演を聞いたフランスの権威シュレーによる感想がありました。「霊界の出来事や現実を描写しているとき、シュタイナーはそれについて何でも知っているように見えた。シュタイナーは描写していたのではなく、この未知の領域の対象や情景を実際に見ていたのであり、ほかの人々にもそれらが見えるようにし、その結果、宇宙的な現象が現実のものだと思えるようにしたのである。シュタイナーの話を聞いていると、その霊視の現実性を疑うことはできなくなる。シュタイナーの霊視能力の届く範囲たるや想像を絶するほどである。」さらに人智学協会を創設したシュタイナーの人智学に関する箇所を抜いてみました。「『知恵』という言葉は常に神の知恵を意味しており、『人智学』という言葉は、人間の真の本質と宇宙にたいする人間の関係を認識してはじめてこの知恵が得られる、ということを示している。さらにこういう意味もある。今までは神の知恵は神の世界そのものによって人間に与えられていたのだが、今では人間自身が、神の恩寵を受けながら、自分を真に理解することによって、地上で生まれた自分の思考を高次の神的知恵に変容させなければならない、というのである。」これだけの抜粋では不十分ですが、本書全体を通して霊学と人智学が網羅されていて、全て読み込まないとわからないというのが今の感想です。

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