土方巽「病める舞姫」を読み始める

今は亡き舞踊家土方巽の舞台が見られなかったのが、自分にとっては返す返すも残念でなりません。とは言え自分が表現活動に目覚めた時には、土方巽は自らの出演を辞め、振り付けや演出をやっていました。自分は20代初めの頃、「天井桟敷」や「状況劇場」といったアングラ劇をよく観ていて、大学の帰りに渋谷の天井桟敷館や新宿の花園神社にあった赤テントに足繫く通っていました。暗黒舞踊という言葉や土方巽という名前を知ったのもその頃でした。自分にとっては写真や評論でしか知らない伝説の舞踊家として土方巽は存在していました。手許にある「病める舞姫」(土方巽著 白水社)は限定復刻版で、古い印刷字体に土方独特な感覚が滲む文章です。舞踏の斬新さと土着性が共存する土方巽ワールドに暫らく心を委ねてみたいと思います。

関連する投稿

  • 劇作家の逝去記事を巡って 先日、新聞に劇作家であり童話作家でもあった別役実逝去の記事が載っていました。今月の3日に亡くなったという記事でしたが、私は20代の頃に演劇を観に、東京のあちらこちらに通っていた懐かしい時代を思い出し […]
  • 「Ⅲ 劇場とダンスについて」のまとめ 「イサム・ノグチ エッセイ」(イサム・ノグチ著 北代美和子訳 みすず書房)の「Ⅲ […]
  • ギリシャ悲劇の起源 「ギリシャ悲劇の起源という問題は、まことに迷路と呼ばざるをえないほど複雑怪奇をきわめている。」「悲劇が悲劇の合唱団から発生したものであること、もともと悲劇は合唱団にすぎなかった~略~」「ギリシャ人は […]
  • 「言語都市・ベルリン」を読み始める 「言語都市・ベルリン」(和田博文・真銅正宏・西村将洋・宮内淳子・和田佳子共著 […]
  • アングラ演劇に魅せられた頃 土方巽の書物「病める舞姫」(土方巽著 […]

Comments are closed.