F・ベーコン「三つの人物像と肖像」

表題は画家フランシス・ベーコンによる大作絵画で、図録によると1975年に描かれています。先日、東京国立近代美術館で開催中の「フランシス・ベーコン展」に行き、とくに印象深かった作品です。ベーコン独特の歪められた人物像が複数描かれていて、中央の上部に肖像画が掛けられた室内を描いたものです。複数の人物の関連性は絵画から読み取ることができず、ただ肉体の塊の変容があるに留まっていますが、このデフォルムに自分は生々しい皮膚感を感じ、妙にリアルな錯覚を与えられました。これはベーコンの世界に共通するもので、自分は写実より現実そのものに近い肉体感覚を感じてしまうのです。ベーコンが同性愛者であったことを今回の展覧会で知りましたが、「三つの人物像と肖像画」に見られる男性的な筋骨隆々とした変形人体の表現動機がこんなところにあるように思えます。脊柱が飛び出ている人物は自殺した恋人のジョージ・ダイアであることが資料写真から判ります。ベーコンの独特な感性は実際の作品を見ることで強烈に伝わってきました。かつて雑誌で紹介されていた作品写真では分からなかった凄みが今回の展覧会にあったと思います。

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