鎌倉の「実験工房展」雑感

先日、神奈川県立近代美術館で開催されている「実験工房展」を見に行ってきました。「実験工房」は学生時代より存在は知っていましたが、実際の活動や作品を見るのは初めてでした。「実験工房」は詩人で評論家でもあった故瀧口修造が主催していたものと誤解していましたが、実際に彼は参加していた芸術家の精神的支えとしてのオヴザーバーであったことを今回の展覧会で知りました。「実験工房」というネーミングは瀧口修造が行っていて、それがあったからこそ継続が出来たようです。「実験工房」は1951年に立ち上がっていますが、自分が生まれる前の終戦後の復興期で、そこに新しい芸術運動が展開していたのは驚きです。当時20代だった青年芸術家たちも、それぞれに創作を発展させ、武満徹のような世界的な音楽界で注目された人もいました。その他にも新進芸術家として美術界、音楽界を通じマスコミで知られた人も多く、その後に生まれた自分は美術雑誌等で「実験工房」世代の活動を知ることになりました。住宅事情が厳しかった当時、狭い部屋に青年芸術家たちが集まって撮影したモノクロ写真が残っています。そこでオブジェを作り、議論を戦わせたであろう状況が感じ取れます。こうした動きが現在の多様な表現活動に生きているのだと思いました。

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