ロマン派画家フリードリヒについて

学生時代に寒々とした氷に覆われた寂寥感漂う絵画を図版で見て、ずっと印象に残っていました。描いたのはドイツの画家ヤスパー・ダヴィッド・フリードリヒで「氷の海」と題された作品です。ネットで調べるとフリードリヒは1774年に北ドイツに生まれ、1840年に没した画家で、ロマン派の画家の中でも注目に値する画家です。現在読んでいる「ゲーテ美術論集成」(J・W・フォン・ゲーテ著 高木昌史編訳 青土社)にフリードリヒに関する一文が掲載されていて、ゲーテが1805年のヴァイマル美術展でフリードリヒに賞を授与したことに触れている箇所があります。本書ではフリードリヒの代表作「樫の森の僧院」や「海辺の僧侶」には他の著述家の言及がありますが、自分も図版でしか見たことがないにも関わらず、廃墟になった僧院や墓地が荒涼とした風景に点在する世界に魅了されてしまいます。ネットによれば宗教的崇高感という記述がありましたが、それは実物を見てみないと感受できないもので、いつかドイツに出かけて実物に接したいものだと思っています。

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