彫刻における平面性
2013年 2月 19日 火曜日
一般的な概念からすれば彫刻は3次元空間に置かれた構築物で、四方八方から鑑賞するものです。最近はそうした従来の彫刻の概念は崩れてきています。展示空間全体を使ったインスタレーションは従来の彫刻として扱えない要素が多く、またそうした作品が昨今ますます増えてきています。自分の作品には彫刻としての旧概念がいまだに生きています。その概念からすれば、自分の作品は平面性が強いレリーフかもしれません。自分も自作をレリーフと言って憚らないのですが、本来のレリーフの旧概念から言えば、ちょっと意味合いが違うようにも思えます。自作は座標(大地)からプラスマイナスとして考えている造形で、発掘された構築物が地上に出現したイメージをもって作っています。埋没された部分はマイナスとして認識している造形で、かつてテーブルを座標にしてテーブルの上と下に造形したことがありました。そういう意味で自作は厳密に言えばレリーフではなく、広がる大地に現われた3次元空間と考えられます。大地が占める割合が大きいので、平面性が強い作品と言うのが正確なところかもしれません。
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