「小野元衛」展
2012年 12月 28日 金曜日
小野元衛という画家を自分は展覧会を見るまでは知りませんでした。28歳という若さで世を去った画家は、とくに今まで話題になることもなかったので、美術館での展覧会としては初めてだったのでないかと思いました。先日、神奈川県立近代美術館鎌倉館別館で開催されていた「小野元衛」展に行って、夭折の画家の魂に触れてきました。貝殻のモティーフ、風景や仏像をテーマにした連作、走り書きしたスケッチ等を見て、もう少し長く生きられれば大作も生まれたであろう可能性に無念を感じました。自分は教会や東京のニコライ堂を描いた作品が好きです。画家はどんな思いでこうした建物を描いたのか、心が命じるままにデフォルメされた建物は、何か炎に揺らめいた情感を感じさせます。小品絵画に込められた思い。一時は朱や黄色を主調にした激しい表現の吐露は、画家がその宿命を知っていたかのような感があります。
関連する投稿
- 暁斎流の「鳥獣戯画」について 先日、閉幕してしまった「河鍋暁斎の底力」展で、私が気になった数多くの下絵の中から、展覧会のポスターにもなっている作品を取り上げます。ポスターは「鳥獣戯画 猫又と狸 […]
- 週末 土練り&美術館鑑賞 新型コロナウイルス感染症の影響で緊急事態宣言が出されている中、東京の博物館や美術館に行っていいものかどうか、数日前まで迷っていましたが、展覧会の開催期間終了が迫っていることもあって、インターネットや […]
- 東京駅の「河鍋暁斎の底力」展 既に終了している展覧会の感想を述べるのは、広報という意味がなくなったために甚だ恐縮とは思いますが、私にとって大変面白い展覧会だったので、敢えて感想を言わせていただきます。東京駅にあるステーションギャ […]
- 複数の「洛中洛外図屏風」を比べる 東京国立博物館平成館で開催中の「桃山ー天下人の100年」展は、その出展作品の内容や展示の視点から見ると、大変大がかりであり、また興味が尽きないものばかりで、日本の伝統文化の重厚感に圧倒されてしまいま […]
- 横浜の「吉村芳生」展 先日、横浜そごう美術館で開催中の「吉村芳生」展に行ってきました。「超絶技巧を超えて」という副題がつけられていた通り、鉛筆で描かれた写実画には目を見張るような驚きがありました。日常のありふれた情景を撮 […]
Tags: 展覧会, 画家
The entry '「小野元衛」展' was posted
on 12月 28th, 2012
and last modified on 12月 29th, 2012 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.