「ブルトン シュルレアリスムを語る」読後感

「体系をも人間をも容赦しない石化過程を今日まで免れてきているのは、ただシュルレアリスムだけだとわれわれには思われる。いまだ失語症に陥っていないものに絶えず警戒をうながすこと、人類に数百年来の抑圧を加えている経済的・倫理的教条をつねに激しく攻撃すること…、そして最後に、悪の広がりと毒性とに見合った新薬を捜し求めること、これらのことが、瞬時たりともシュルレアリスムのものであることをやめなかった諸原理から導き出される、われわれの至上命令なのである…心的生活意識的側面と無意識的側面とのあいだに、革命行動と欲望の昂揚とのあいだに、唯物論と観念論とのあいだにつねにあなたが定めてきたこの軌跡、まさしくシュルレアリスムのそれに他ならないこの軌跡、われわれにはただ、あなたがこの軌跡をなぞることができた地点から、一挙にこれを踏破し、そのすべてをわれわれ自身の軌跡とすることができるに過ぎない。」この引用はブルトンの影響下にある若い世代が表明したもので、ブルトンを喜ばせ、価値ある証言と言わしめたものです。ここに永年にわたるシュルレアリスムの真髄があるとも言えます。「ブルトン シュルレアリスムを語る」(アンドレ・ブルトン著 稲田三吉・佐山一訳 思潮社)を読み終えて、シュルレアリスムを体系化し、生涯をかけて擁護してきたブルトンの強靭な意志と、時に不条理を生んだ状況に正対した苦悩が読み取れました。

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