A・ブルトン 望みの吐露

「私の望みは、私たちを分離させえたあらゆる要素を乗り越え、分離の際に味わった感情、その一部はいまだ収まることを知らないのですが、そうしたもろもろの感情を乗り超えて、そこからは、何人もで一緒に辿った道を何ら苦い思いを感じないで眺められるような、そこからは、一定数の人間ーいつも同じ顔ぶれとはかぎらなかったにしろーをひとつの同じ大義のまわりにこの上ない熱情をもって結集させたものにたいしてなんの低意なしに感謝できるような、そうした平静な地点に到達することだと言えましょう…」現在読んでいる「ブルトン シュルレアリスムを語る」(アンドレ・ブルトン著 稲田三吉・佐山一訳 思潮社)の中で、シュルレアリスムの提唱者であるA・ブルトンがラジオ放送のインタビューに答えて、自分の望みを語った箇所を引用しました。シュルレアリスムは旧態依然とした価値観を壊し、人間の顕在・潜在意識双方に働きかけた芸術文化活動でしたが、それに留まらず政治にも影響を及ぼした大きな運動でした。それを組織するにあたって様々な苦悩があったことがインタビューによって窺えます。ブルトンの望みの吐露はその苦しさを十分物語っていると私は感じました。

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