西洋の没落「経済生活の形式界」そのⅠ

「西洋の没落」(O.シュペングラー著 村松正俊訳 五月書房)の第二巻を読んでいます。第5章「経済生活の形式界」に入り、そのⅠとした副題は「貨幣」です。いよいよ大作「西洋の没落」の最終章になりました。「経済的にいえば、第一の、そうして本源的にほとんど唯一の生活は農民態、すなわちすべて他の生活方法を初めて可能にさせる単なる生産的生活方法である。原始階級もまた初期の時代にはその生活基準を全然、狩猟、牧畜、田畑所有においていた。そうして後期時代の貴族階級においてさえも『不動産がある』ということは、唯一の上流である可能性である。これと対立するものは商業という仲介的な、獲得的な生活方法であって、これはその数の少ないのに比して強大な力があり、そうして早くからでさえ欠くべからざるものである。それは洗練された寄生生活で、完全に非生産的で、したがって土地から離れ、流浪し、『自由』で、精神的にも土地の道義と慣例とに煩わされないものである。他の生活に養われる生活である。」「初期の人間が財を比較し、そうして理性だけで比較するのではないのに反し、後期の人間は商品の価値を計算し、しかも固定した質のない尺度で計算する。今や貨幣は牛で評価されないで、牛が貨幣で評価される。そうしてその結果は抽象的な数、すなわち価格で表される。書かれ、口で述べられ、表象された数記号が数の種の表号であるように、この価値基準が価値記号が表されるかどうか、どうして表されるか、これはそれぞれ異なった種の貨幣を生み出す個々の文化の経済様式に依拠する。」複式簿記が1494年に発明され、手形、小切手、紙幣、さらに証券の発明とともに経済または資本は大きく世界を包括していくようになるようです。

関連する投稿

  • 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
  • 「《逸楽の家》」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「3 […]
  • 「結語」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「結語」の「1 木彫と陶器」「2 親密な環境における彫刻」「3 […]
  • 「状況-思考の神秘的内部を表すこと」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「1 […]
  • 「文化的総合」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「2 […]

Comments are closed.