東京新宿の「J・アンソール展」

ベルギーの画家と言えば自分はルネ・マグリットを思い浮かべます。中世で言えばフランドル地方の画家ペーター・ブリューゲルが有名です。20代の頃、自分はウィーンに住んでいてベルギーを訪れたことがあります。行った先は首都ブリュッセルと古都ブリュージュで、とくに当地の美術館を見ることはなく通り過ぎてしまったのが残念でなりません。ベルギーは幻想傾向にある芸術家が有名で、東京新宿にある損保ジャパン東郷青児美術館で開催している「ジェームス・アンソール展」も仮面や骸骨が登場する幻想絵画です。先日同展を見に行って、その独特な世界に魅了されました。アンソールは美術史に残る名作の模写をたくさんやっていて、古典絵画の手法を身につけたようです。習作時期のデッサンも展示されていました。当時の風潮もあろうかと思いますが、骸骨が人に成り代わって何かを演じている場面は、社会風刺ともとれる表現です。アンソールが揶揄したかった社会はどんなものだったのか、仮面は相貌を隠し、人格を変え、他者になりきる愉快犯的要素があります。現代も本音だけではやっていけない体裁社会であることを考えると、アンソールが表現したかった何かが伝わってくるようです。同展を見て、当時の世相と現代が大きく変わっていないことを感じました。

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