「西洋の没落」との出会い

現在読んでいる「西洋の没落」(O.シュペングラー著 村松正俊訳 五月書房)は20歳の頃に購入した書籍です。どこか大きな書店の専門書棚で見つけ、タイトルに刺激されて買ったように記憶しています。当時、自分は難解な書籍ばかり集めていて、本書も読み始めてすぐ挫折してしまい、実家の押入れに仕舞い込むのが習慣になっていました。20歳の若者が親に内緒で持っていた定番なる風俗本と一緒に、第一級の専門書が押入れに入っているのは、今になって思えば何だか愉快です。卑猥な雑誌と本書のような専門書がごちゃまぜになっている空間は、まさに自分そのもので、心と身体のアンバランスが、綺麗事を言えば自分の青春だったわけです。「西洋の没落」はそのタイトルにどんな意味があるのか、真意を紐解いてみたいと思っていました。加えて大学で西洋彫刻を作っていた自分は、いずれ彼の地に行ってみたいと考えていて、没落していく西洋がどんなものか知りたいと思っていたのでした。ところが読み始めたら一筋縄ではいかない論理、圧倒的な語彙の洪水、目で追うだけでは意味が伝わらない展開に辟易して、あっという間に扉を閉じてしまいました。あれから30数年を経て、やっと最後まで辿りつけそうな按配です。まだ読み終えていないくせに感慨一入です。シュペングラー独特の形態比較に慣れてきて、自分が書く文章に影響が出ています。この分厚い書籍にどっぷり浸かっていれば仕方ないかなぁと思いつつ今日も少しずつ読んでいます。

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